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患者トラブルの最近の特徴と対処の仕方

2015年09月13日(日)


%e5%b0%be%e5%86%85%e3%80%80%e5%ba%b7%e5%bd%a6%e6%b0%8f ― 特に「応召義務」の理解を中心に ―
講師  尾内 康彦氏(大阪府保険医協会事務局主幹)
日時  2015年 9月13日(日)午前10時~12時
会場   石川県地場産業振興センター
        新館1階 コンベンションホール
    (金沢市鞍月2丁目1番地 ☎076-268-2010)
対象   保険医協会の会員とスタッフ
 ※講演会参加者には医療安全管理研修の受講証を発行します。
参加費 無料    チラシ 患者トラブル   
申込み 9月7日(月)まで
    詳しくは
主催 石川県保険医協会
 金沢市尾張町2-8-23太陽生命金沢ビル8階
 TEL 076-222-5373 FAX 076-231-5156
 Email  ishikawa-hok@doc-net.or.jp

メモ
A.患者トラブルは2000年から増加
 1.医療訴訟は減少している
 2.接遇セミナーなどハウツー、スキルでは対応できない
   危機管理の意識を持つ
 3.患者の質の変化
   a.平成時代の正しい心構えが必要
   b.3つの“層”の広がり
     ①モンスターペイシェント
      ・警察沙汰になることが多い。
     ②“困った患者群”(ハードクレイマー)
      ・警察沙汰には決してならないが、とにかく自己中心的な態度での迷惑行為。
     ③普通の市民
      ・権利意識、要求水準の高まり 
      ・大なり、小なり「消費者意識」に基く「患者さま」意識に影響されている。
   c.背景
     ①市場原理主義、グローバリゼーションが蔓延。財界に「還元」の発想はゼロ。
      健康も生命も「自己責任」となり、不安の増大。
            無理難題であっても自己主張することが、
       わが身・わが家族を守ることになるという意識が一気に広がった。
     ②患者至上主義の誤り
      ・医療のサービス化
        患者満足度を上げる=患者の言いなりになる
      •医療では、悪質クレームと正当なクレームとを見分ける。
        この2つを区別し、対応する必要がある。
      ・「患者さま」は商取引の延長線で捉えている
                →「患者さん」

B.誤解と思いこみ
 1.患者には治療方法を自己決定する権利はあるが、
    医師の治療行為に協力する必要はない。
  →診療は医師と患者の共同作業(双務契約)であり、
    医師だけが一方的に義務を負っているわけではなく、
        患者も診療協力義務がある。
 2.病医院にかかったら医師には治す義務がある。
  →診療契約は準委任契約
    医師には患者のための誠実な診療を行う義務があるが、
    完治させるまでの治癒義務はない
      ただし、自費診療を選択する場合は、より良好な予後を期待しているため、
    「請負契約」的な契約になりがち。
 3.病医院に行けば、病気は治る。
 4.専門医が診察すれば疾病の原因は必ず分かる。
 5.医療はいつも安全。
  →医療の限界、不確実性
 6.医師は何があっても治療を拒否できず、どんな患者でも、
    どのような状況でも診療する義務がある。
  →応召義務違反に罰則はない。
   応召義務の限度・限界を超えた時は、拒絶する。
   応召義務を拒む正当な理由として
    ・モンスターペイシェント
    ・不当な理由で「払わない患者」

C.最近の患者トラブルの特徴
 1.薬物依存・アルコール依存症の患者
  →病院全体の意思統一、入り口に「警察官立寄所」のプレート
 2.精神に疾患を抱え、情緒不安定・不穏状態の患者
   ・認知症が疑われる患者
      ・統合失調症が疑われる患者
      ・境界性人格障害が疑われる患者
      ・双極性障害及びそれを疑う患者
  →専門医に相談、分類・程度の区分とその対応
   「加害行為」は、人でなく「行為」を見る
 3.マル暴(元、現)関係の患者
    大阪ではこれ以外に同和問題、民族問題も絡む

D.患者トラブル対応の基本とは
 1.患者・家族の気持ちを思いやる
 2.クレーム・苦情を見分ける
   ・まずは事実を確認する。
  ①医療機関側に法的な責任がない場合
   ・被害が生じた原因について、誠意ある説明を行い、
    さらに今後の改善等などを示すことで、患者側の納得を得ることを試みる。
  ②医療機関側に法的責任がある場合
   ・被害が生じた原因について、誠意ある説明と謝罪を行ったうえで、
    被害に対する賠償交渉を進める。
    多くはここで医事紛争処理委員会(医師賠償責任保険)を利用。
    さらに“今後の改善策”などについても併せて説明し、患者側の納得を試みる。
 3.詳細な記録をとる
   ・対応した日時、相手の氏名、応対の内容をできるだけ詳細に記録する。
   ・記録は「いつ」「誰が」「どこで」「誰に」「どうして」「どうなったか」。
   ・状況によっては、録音も必要となる。
 4.怒りをエスカレートさせる行為は厳禁
   ・議論をしない。
   ・責任転嫁しない。
   ・苦情であっても、不誠実な対応で、クレームに発展する可能性が高くなる。
 5.会話を録音する準備を常にする
   ・ICレコーダーは現代の必需品。
 6.対応場所を選ぶ
   ・孤立しない場所で。
   ・相手との距離、角度も注意。
   ・相手の自宅や会社に呼び出されても応じない
    (過失のあるなしで多少違ってくるが)。
   ・湯茶接待はしない(凶器となる)。
   ・灰皿、花瓶などは置かない(凶器となる)。
 7.対話法を学んでおく
   ・最初の数分間は原則反論しない。
   ・はじめに相手の要件を明確にさせる。
   ・多弁は禁物。
   ・意思表示は明確にする。拒否の場合は特に。
    「検討します」「相談します」という言葉は使わない。
     余計な期待感を抱かせるから。
   ・相手の挑発に乗らないし、こちらも挑発しない。
   ・官庁・マスコミへの告発、タレコミなどの脅しに屈しないこと。
   ・相手の要求に即答しない。
 8.最も大事なことは、自分自身や職員の「身を守る」こと。
 9.今は昔のトラブル対応と違い、1人で何とかなると過信しないことが大事。
   組織的に対応することが肝心。

E.歯科領域の患者トラブルを起こさないための注意事項
 ・薬品による身体傷害
  グローブに気づかずに付着した薬品等による軟組織等への傷害もあるので注意する。

<案内文>
「やさしいだけじゃ、医療は守れない!」
 講師の尾内康彦氏は、大阪府保険医協会事務局の立場から、長年にわたって、病院、診療所の医師、歯科医師、職員等からトラブル相談を受けてこられ、「なにわのトラブルバスター」として解決に導いてきた数多くの実績を持っておられます。
「自分たちの組織で起きたトラブルは、自分たちで解決すべき」ものであり、その解決経験が医療機関にとって貴重なものになるとの信念のもと、「患者や家族の気持ちにより添う」「職員の身を守る(職員を守れない医療機関は患者も守れない)」「事実をしっかりと確認する」といった対応を基本とし、「現場全体の結束力」の重要性を力説しておられます。
 医科、歯科を問わず、多くの開業医はあらゆるクレームを一人で背負わなくてはなりません。患者とのわずかな行き違いから大きな問題が起こりえます。日頃からの備えとして、今回の講演会が役立つものと確信しています。

<講演抄録>
・近年、医療訴訟の新規受任件数は減少していますが、患者トラブルは増加傾向にあります。
・「医療機関トラブル」は内容によって4つに分けられますが、その中で最も相談件数が多いのが「患者トラブル」です。
・一方、医療関係者は患者らとの関わり方を教えられていません。関係者の中には、患者からのあらゆるクレーム・苦情に対しては、患者本人を納得させ、説明を尽くす義務があると“勘違い”している人がいますが、これは間違いです。
・この前提に立ち、4つのポイントで説明します。①「応召義務」の理解を深める、②今どきの「患者クレーム・苦情の見方と時代背景との関係、その押さえ方、③特に増加が顕著な精神疾患を疑う患者・家族の見方をしっかりする、④その上で患者トラブルをどう押さえるか→「やさしいだけじゃ医療を守れない」時代にあることを再認識すること、等です。
・患者トラブルを構成する3つの「層」(モンスターペイシェント、ハードクレイマー、「普通の人」)の特徴を、時代との関係で押さえ、そして「クレーム・苦情は宝」とする考えの誤りを正します。
・最後に、「やさしいだけじゃ医療を守れない。危機管理的な対応も加えて、その上で患者にやさしくすることが必要となっている時代である」ことを強調したいと思います。

<講師のプロフィール>
1954年福岡県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒。1979年末に大阪府保険医協会に入局。税務経営や政策調査、保険請求・審査対策・学術研究会、政策調査、運動対策などを経て、現在は、税務・経営対策等を主に担当している。いまは開業支援から、第三者継承・閉院対策にも力を入れている。
トラブル相談では大阪のみならず、全国の病医院から多数相談が寄せられる。近年国公立・私立大学病院、公立、公的病院、医師会・各科医会、各学会からも相談や講演依頼が多い。
現在「日経ヘルスケア」に2005年2月から「病医院トラブル110番日記」を執筆中。また日経メディカルオンラインにも連載中である。2009年6月25日には日経BP社から2分冊で「患者トラブル解決マニュアル」がまとめられ、その1分冊として『病医院トラブル110番日記』を発刊。2012年7月末には『患者トラブルを解決する「技術」』も発刊(現在6刷)、これは韓国語版、中国語版も出ている。ほか、2007年5月共著で「医療機関まさかのトラブル対策」(プリメド社)などがある。

『患者トラブルを解決する「技術」』
eb.store.nikkei.com/asp/ShowSeriesDetail.do?seriesId=D2-00P49170B
日経ヘルスケア
medical.nikkeibp.co.jp/all/info/mag/nhc/
日経メディカルオンライン
medical.nikkeibp.co.jp/

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