名誉院長ブログ のぼるくんの世界

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It`s now or never

2010年03月03日(水)


福田衣里子8薬害C型肝炎と向き合って
福田衣里子・古賀克重・有富朋礼著
書肆侃侃房
2008年11月13日発行
1500円
 20歳の時、「C型肝炎ウイルスに感染して、20年経過している」と知らされた筆者が生い立ちからを振り返った1冊である。いつも、何か行き詰まったり、悩んだ時、手帳の片隅に書いている「It`s now or never(今しかない)」が勇気を与える。
 避けることが可能だったのに、リスクを知りながらも使われ続けた薬による被害者とその周りの人たちの葛藤が心に伝わる。夢、希望、可能性、選択肢を今とこれからも持ち続けて欲しい。
 後半の弁護士 古賀克重の「薬害肝炎訴訟~その闘いの経緯~」と医師 有富朋礼の「C型肝炎について知っておきたいこと」も一読を。

1.わたしのこと
 父の転勤のため、1歳半の頃ロンドンへ。いろんな人種と接しながら、いろんな世界を見ながら3年間過ごした。高校1年の時、7月11日クラスメイトが亡くなった。生きていることを幸せに思い、どんなことも喜びに変えて、頑張っていこうと思う。高校2年生、生涯の親友と言える友達と出会った。また、空手部副キャプテンになり、高校総体では準優勝をした。
 大学1年生の春休み、大学で学ぶ意味がわからなくなってきて頃、両親とイギリス旅行に行った。悩んだ結果、1年通ったところで休学することにした。

2.ヨーロッパ一人旅
 ある国では、将来の自分の生きていく道に悩む余裕なんてなくて、それでも必死に生きようとしている。私は悩んでいる。私は幸せなんだ。大きな自然の中では、微々たる存在の自分。でも、自分次第でどんなことでも、可能にし得る環境に生まれた自分。きっと何か意味があるんだ。できないんじゃなくて、やらないんだ。自分の力に線引きするのはやめよう。もっと自分を信じてやろう。
 自分のものさしで、自分の価値観で、自分が理解できる小さな器で人のことを判断しちゃいけないんだと思った。他を異物として排除するんではなくて、他として認めた時、初めて自分という人間が存在することを感じた。

3.「C型肝炎」
 私は、いつも周囲の人間に、C型肝炎というもの、特に感染経路、普通の生活での感染は極めて少ないことを話すようにしている。自分の努力次第で、差別や偏見の目も避けられるかもしれないと思っていた。
 信頼できる医師と出会えたことで、病気とも前向きに闘えるようになったのだと思う。本当に悩んでいる時は、なかなか人に話せない。相談もできない。人に相談しているという時点で、悩みはほとんど解決しているし、傷も癒えているんだと思う。健康はつらい治療に耐えて、努力することで取り戻せるかもしれない。でも、時間はもう戻らない。

4.裁判
 国や、薬というものは、私たちを守っている存在だと思っていた。疑うことのない存在からの裏切りは、私を人間不信にした。この裁判に一番求めていることは、正義の回復、人間という生き物への希望の回復だと思う。裁判に加わったことで、自分に起きたことをより多くの人に話すことが、薬害のない社会を作る役に立つかもしれないとわかった時、嬉しかった。
 私は、運悪く感染したんじゃなくて、運よく感染に気づいたんだ。やれる人がやればいい。やるべきことや、やりたいことがたくさんあることに今頃気づいた。失ったものと同じだけ、得るものがある。どっちを見るかで人生は変わってくる。

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