名誉院長ブログ のぼるくんの世界

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植物という不思議な生き方

2008年08月14日(木)


植物という不思議な生き方蓮実香佑 著
PHP研究所
1300円
2005年11月9日発行
 植物とは不思議な生き物である。人間とは姿も形もまったく違う。もっと根本的に考えも及ばない何かがあるのだと思う。手足も、目や耳も、脳もない。しかし、戦略家である。
また、余計なことを考えない植物のまっすぐな生き方に、私たちは「生きる」ことの意味を問い正されるかもしれない。
 植物の不思議な世界へようこそ。

1.天然成分でお肌すべすべ
 どうして植物が人間の老化を防止して若々しくさせたり、人間のお肌をすべすべにしたりするような物質をわざわざ持っているのだろう。人間も活性酸素の発生と消去のシステムを持っている。しかし、活性酸素を発生させたり除去させたりを頻繁に繰り返す植物は、格段に抗酸化物質の種類が多い。さまざまな抗酸化物質が植物由来なのは、そのためだ。また、植物が選び抜いて利用している成分は一つで何役にも使える多機能な成分が多く、植物が思いもしないような有用な作用を人間の体にもたらすことも期待できる。
2.マメ科植物のような会社へ転職
 根粒菌はふだん落ち葉などを分解しながら質素な暮らしをしている。ところが、マメ科植物との出会いが、根粒菌の眠っていた潜在能力を引き出すのである。働きやすい環境と十分な報酬を与えられて、根粒菌は窒素固定の能力を発揮する。マメ科植物は、根粒菌を体内に住まわせることによって、大気の主成分である窒素を獲得し、窒素分の少ないやせた土地でも育つことが可能になった。
3.芽生えの科学
 草むしりをすると雑草の種子が一斉に芽ばえてくるのは、光が地面に射し込むことによって、邪魔になる他の草を人間がきれいにとってくれたことがわかるからである。また、種子に赤色の光が当たると発芽し始めるが、緑色の光だけが射し込んでも、まわりに生い茂る植物があるということだから、発芽しない。
4.エチレンの不思議
 石油ストーブのそばに花を活けておくと、燃焼ガスにエチレンが含まれるため、花が長持ちせずに萎れてしまう。エチレンは、みずみずしい植物を老化させる不思議なガスなのだ。また、メロンやリンゴなど、エチレン生産の多い野菜を不用意に冷蔵庫の野菜室などに入れと、他の野菜や果物の老化を早め、鮮度を落としてしまう。

5.紅葉が赤く染まる理由
 長引く冬の時代に備え、貴重な栄養分や水分を守るため、植物は、葉の付け根に「離層」という水分や栄養分を通さない層を作った。しかし、葉の生産工場は、限られた手持ちの水分と栄養分を使って光合成を続けていく。行き場を失った糖分はやがてアントシアニンという赤い色素に姿を変えていく。そして、葉の中の緑色に保っていた葉緑素が、やがて低温によって壊れ、葉にたまっていたアントシアニンの赤い色素が目立つようになる。
6.植物は環境の破壊者だった
古代の海に生まれた植物プランクトンが酸素をまき散らし、オゾン層を作り上げるまでに三十億年の歳月を費やした。さらに地上に進出した植物が酸素濃度を上げるまでに六億年の歳月が必要だった。人類による環境破壊は、たかだか百年単位で引き起こされている。この変化スピードに、生物たちの進化が環境の変化に追いつけるとはとても考えられない。たとえ、いくらかの生物が地球に生き残るとしても、人類は間違いなく生き残れない。

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