名誉院長ブログ のぼるくんの世界

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「噛まない子」「噛めない子」

2004年06月15日(火)


子どもたちの食生活

 最近、保育現場などから「噛まない子」「噛めない子」や「なかなか飲み込まない子」というような報告が多くあり、また、小学校では「朝食をとらない」「夜習い事に出かけるために夕食時間が不規則になる」「学校給食において、食事姿勢の崩れや食器が上手に使えない」などの問題も指摘されています。そして学校検診でも口の中に多くの変化が観察されるようになりました。歯の噛み合わせが整っていなかったり、舌が細くて弱々しく、舌の縁に歯の痕がついていたりしています。
 摂食機能は、生後、学習して獲得する機能です。この大切な食べ方の学習期に幼児をとりまく最近の育児環境は、加工食品の氾濫、核家族化、食事時間の乱れ、広がる個食(孤食)など決してよいとはいえません。
 子どもたちによく見られる「食べ方」の現象が、大人社会に様々なことを気づかせてくれます。発達期に飽食環境の中にあると、食べることへの意欲や関心が低下しがちになります。幼児期における「噛まない子」「噛めない子」の問題も飽食の時代が生みだした負の産物の一つではないでしょうか。
 農業でも、経済効率をよくするために、根を長く伸ばさずに養分が得られる上層肥料(地中の浅い所に肥料)を与え、植物を早く成長させていますが、その一方で、深層肥料(地中の深い所に肥料)が見直されています。深層肥料は、植物が根に養分をとられ茎の成長が遅れます。しかし、最終的には成長は追いつき、大地にしっかり根を張った深層肥料の植物は天災に強く、風によって倒されにくく、干ばつでも枯れにくいのです。
 子どもに「早く食べなさい。早く食べなさい。」とせかすのは、根っこの浅い人間に育てているように思われてなりません。食事の時間だけで摂食機能を直そうとしても難しいことです。生活全体を考え、その子の問題点が何なのかを見つけて、その子に合った発達のステップをきちんと踏み、考えていけるような指導をしていかなければならないのではないでしょうか。
 子どもに空腹感を感じさせるとともに、ゆっくりと、大きなものやいろんな素材を奥歯でしっかり噛んで食事させてください。食べることは楽しくて素敵なことです。健康な口腔で、子どもとおいしさと楽しさを一緒に語り合いながら食べていきたいものです。

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