小島歯科医院 名誉院長ブログ

2.7.17.

2020年07月06日(月)


【1】新型コロナウイルス感染症 開業医向け支援制度
【2】ウイルス学エピソード
【3】歯科医師によるPCR検査の可否について
【4】新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ
【5】抗体が感染を防ぐとは限らない!
【6】基金、国保4月分、前年同月比歯科27%マイナス
【7】歯科医療の現場は感染リスクが高い?
【8】宣言解除後も続く「小児科離れ」 屋外診療
【9】新型コロナウイルス感染症対策分科会(第1回)
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【1】新型コロナウイルス感染症 開業医向け支援制度
ishikawahokeni.jp/2020covid19/
 (石川県保険医協会特設ページより)
 「開業医向け支援制度」では、開業医が利用できる支援制度を一覧表にまとめているほか、医療従事者等慰労金や、国および県の感染拡大防止支援金等の概要等も紹介しています。新しい情報を順次更新しています。ご活用ください。
【2】ウイルス学エピソード
 (神奈川県衛生研究所より)
www.eiken.pref.kanagawa.jp/002_kensa/02_kensa_main.htm#virology
 ウイルスは細菌と異なり自分で蛋白を合成できません。細菌は細胞ですがウイルスは細胞ではありません。ウイルスが子孫を残すためには、自分の好むつまり感受性のある細胞(宿主細胞)に到達し、RNAかDNAという設計図をもとに、入り込んだ細胞のタンパク合成力を利用して子孫ウイルスを大量に増殖させるわけです。そのため細胞は自分の蛋白を作られず死んでしまいます。
 ウイルスは本来の宿主のなかでは、比較的おとなしいものなのです。かれらは自己の複製を目的にして宿主に入り込みますが、その病原性があまりに激烈であれば、結局自分も死滅しコピーを次代につなげることができなくなってしまう。今回の新型コロナウイルスも長いスパンで見れば、ヒトへの病原性は低くなるでしょう。しかしヒトは本来の宿主ではないので直線的に病原性が低くなるのではなく、時に凶暴な顔を見せたりしながらヒトという新しい宿主にアダプトしていくと推測されます。
【3】歯科医師によるPCR検査の可否について
www.jda.or.jp/jda/release/detail_104.html
 (日本歯科医師会2.4.27.より)
 日本歯科医師会では、厚生労働省からの打診を受けて、日本医師会とも連携をとりながら対応しており、本会も出席した4月26日開催の厚生労働省の有識者会議で概ねの合意がなされた。
 現行法では歯科医業の範疇を超えている本業務について、違法性を阻却する要件を定め、特例的・時限的に歯科医師による検体採取を認めるものである。
 その主たる要件は、「感染が拡大し、歯科医師による検体検査を認めなければ医療提供が困難になるという状況であること」と「安全性を担保した上で検体採取が実施されるために、実施者が必要な教育・研修を受けていること」である。
 病院歯科・口腔外科の歯科医師や、歯科麻酔医等が主たる対象となる。
 参考に
 新型コロナウ染症の感染拡大を踏まえたPCR検査に係る人材について(厚労省)
www.mhlw.go.jp/content/10804000/000625292.pdf?fbclid=IwAR1ELmNEa3GiqINd0gENpLr7T8tv3kvKea9H0uJIA0g_PcF3SnOwu6DatFQ
【4】新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ
 (東洋経済オンラインより)
toyokeizai.net/articles/-/363402
 国際医療福祉大学の高橋泰教授は、新型コロナの臨床に関わる論文から仮説を立て、公表データを使って「感染7段階モデル」を作成した。ファクト(事実)に基づくわかりやすいモデルで新型コロナの特性を説明した。
 新型コロナウイルスは、初期から中盤までは、暴露力(体内に入り込む力)は強いが、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わるおとなしいウイルスである。しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率ではあるが、サイトカイン・ストームや血栓形成という状況を引き起こし、肺を中心に多臓器の重篤な障害により、高齢者を中心に罹患者を死に至らせてしまう。
 病原体が体内に入ると、まず貪食細胞(マクロファージ)などを中心とする自然免疫が働く。次に数日かかって獲得免疫が動き出し、抗体ができる。新型コロナは毒性が弱いため、生体が抗体を出すほどの外敵ではなく自然免疫での処理で十分と判断しているのではないかと解釈し、「なかなか獲得免疫が動き出さないが、その間に自然免疫が新型コロナを処理してしまい、治ってしまうことが多い」という仮説を立てた。
 自然免疫で治る人の比率が欧米より日本人(アジア人)のほうが高く、その結果「軽症以上の発症比率」が低くなるが、抗体陽性率も低くなる。日本では、新型コロナにかかった人が次の人にうつしても、その大半が自然免疫で処理され、次の人への感染につながらない。すなわち新型コロナ感染のチェーンが切れやすい。一方、欧米では自然免疫で対応できず、しっかり発症して他の人にうつす、感染拡大のチェーンが途切れない。
【5】抗体が感染を防ぐとは限らない!
 (文春オンラインより)
news.yahoo.co.jp/articles/ae2d4c574a6a4e291712ace038111fb44c1fa3e7?page=2
(大阪大学免疫学フロンティア研究センター招聘教授の宮坂昌之氏)
 「抗体」には、(1)「善玉抗体(中和抗体)」、(2)「悪玉抗体」、(3)「役無し抗体」の3つがある。新型コロナでも、重症者の方が軽症者よりも「抗体量」が多かったという報告があります。これは、「悪玉抗体」ができている可能性を示唆しています。新型コロナからの回復者のうち「善玉抗体」の保有者は2割程度だったという報告もあります。新型コロナでは「善玉抗体」だけができるわけではないとすれば、「抗体検査」への過剰な期待も禁物だ。通常の抗体検査は、「善玉」「悪玉」「役無し」を区別できません。
 抗体の量だけ測って、機能は測っていない(宮坂昌之氏)
news.yahoo.co.jp/byline/kimuramasato/20200516-00178807/
【6】基金、国保4月分、前年同月比歯科27%マイナス
 (全国保険医新聞2020年7月25日号より)
hodanren.doc-net.or.jp/news/iryounews/200725_sisk1_kkti.html
 支払基金と国保中央会は4月診療分の確定件数・点数を発表した。入院、外来、歯科ともに前年同月に比べ件数・点数が落ち込んだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響が顕著だ。さらなる医療崩壊を防ぐために速やかな財政措置が不可欠だ。
 減収による経営難は、およそ経済活動を営むあらゆる業種に共通のものであることから、医療提供体制の公的性格を考え、地域医療の確保・増進のための公的財政支出を要求すべきである。憲法 25 条に定める健康で文化的な生活を保障する国家の義務の具体化には医療提供体制の公的整備が不可欠であること、医療提供体制は社会的共通資本として市場に委ねられるべきでないこと、医療法第1条の3に「良質かつ適切な医療の提供確保」に係る国、地方自治体の義務規定がなど。
【7】歯科医療の現場は感染リスクが高い?
 (文春オンラインより)
bunshun.jp/articles/-/38247
 「『歯科医療の現場は感染リスクが高い』というマスコミ報道があり、これを誤解した多くの国民が歯科受診から遠ざかっているようです」と答えるのは、日本歯科医師会会長の堀憲郎歯科医師。その誤解について、堀氏が続ける。「『感染リスクが高い』という指摘は、万一新型コロナウイルス感染者が歯科医療機関を受診した時に歯科医師や歯科衛生士などのスタッフに感染する危険性を指したもの。つまり、患者ではなくスタッフの危険性を指摘しているのです。ところが報道を見た人の多くがそれを逆に解釈した上、『歯科医療の現場は“密”である』というイメージも重なって、外出自粛の対象を歯科治療にまで拡大してしまったのでしょう」。
 6月5日現在、歯科治療を通じての新型コロナウイルスへの感染例は1件も報告されていない。治療を中断することにより、口腔内疾病の悪化やそれに伴う全身に及ぶ影響も懸念される。また、感染予防ならびに重症化対策としても口腔ケアは大切。歯科治療は、決して「不要不急」ではない。
 厚労省医政局歯科保険課長 令和2年6月19日
www.mhlw.go.jp/content/000641738.pdf#search=%27%E5%8E%9A%E5%8A%B4%E7%9C%81+%E5%8C%BB%E6%94%BF%E6%AD%AF%E7%99%BA+%EF%BC%96%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%99%E6%97%A5%27
 新型コロナウイルス感染症への対策が求められる中であっても、国民の健康の保持・増進のため、歯科疾患の予防や重症化予防の取り組みが重要です。
 介護施設への訪問診療は面会には該当しない(厚労省事務連絡)
www.mhlw.go.jp/content/000625346.pdf
 新型コロナウイルス肺炎の重症化を防ぐために口腔ケアを
kojima-dental-office.net/20200422-5168
 新型コロナウイルス感染症に備えて
kojima-dental-office.net/20200326-105
【8】宣言解除後も続く「小児科離れ」 屋外診療
 (神戸新聞NEXTより 6/13(土) 16:25配信)
news.yahoo.co.jp/articles/fd71c3a90c1c26547e2efcd8896900a1682b00eb
 新型コロナウイルスの影響が、小児科にも広がっている。外出自粛で受診を控える家庭が増え、緊急事態宣言解除後の6月に入ってからもその傾向が続く。「小児科離れ」とも呼べる状況を克服しようと、兵庫県伊丹市の小児科では、感染予防策として屋外診察を導入。大人向けに抗体検査を始めるなど、地域医療の「とりで」として試行錯誤を続けている。
 感染予防で受診を控え、市販薬や余っていた薬で症状を抑える家庭が多いとみられる。結果として「熱が下がらない」「ぐったりしている」など、悪化してから駆け込んでくるケースが増えている。初期の治療で済んだはずが、小児科では手に負えず2次救急につなぐことになり、高度医療機関のひっ迫が懸念される。
【9】新型コロナウイルス感染症対策分科会(第1回)(7月6日開催)
www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/corona1.pdf#search=%27%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%83%8A%E3%82%A6%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%82%B9%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%E5%AF%BE%E7%AD%96%E5%88%86%E7%A7%91%E4%BC%9A%EF%BC%88%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%9B%9E%EF%BC%89%27
 従来の専門家会議に代わる新しい専門家会議の第1回会合。議事は非公開とする。10年後は原則公表扱いとなる。
  ・新型コロナウイルス感染症対策分科会の構成員
  ・首都圏の感染状況の分析と当面の対応

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