Facebook 名誉院長ブログ

まだ何もしていないのに「痛い」と言う子どもたち

2018年11月08日(木)


 触覚には、二つの神経伝達ルートがあります。一つは、生体の防御や危険回避を行う原始感覚系の神経回路であり、もう一つは、対象物の大きさや性状や形などの識別を行う識別感覚系の神経回路です。
 生まれてしばらくは、原始感覚系の神経回路が優位にあるために、子どもは不意に顔や身体を触られることを嫌がります。次第に識別感覚系を獲得していきます。その時に大切なのが、アイコンタクトです。子供と見つめ合い、優しく全身を触れることで、情報が入りやすい体と心が形成されていきます。ところが、目を合わさない母親の行動は、過敏で情報が入りにくい子供になりやすくなります。母子の信頼形成に時間がかかる子は、不安も大きく環境適応が遅くなります。特に敏感なお子さんは、大きくなっても後ろから不意に触られるとビクッとします。
 原始感覚系の神経回路が優位なお子さんは、診療室に入る時も、チェアーに座る時も、まだ何もしていないのに「痛い」と言い、診療を拒否します。そんなときは、先ず、目を開けることから始めます。アイコンタクトを取り、識別系感覚系へ促していきます。家族の協力も大切です。怒こらないで理解してあげてください。
 どんなに敏感でも、触れたまま動かさなければ感じなくなり、ゆっくり動きを感じないような刺激を継続的に続ければ、子どもの身体は識別系へと転換されていきます。頬→口唇→舌と歯との間に指を入れる、止める→舌を触られるようになり、診療もできるようになります。

よくあるご質問の最新記事