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考えるエンドドンティクス

2017年12月10日(日)


005“歯内療法”の考え方&学び方を解説!
講師:奥羽大学 歯学部 教授 高橋 慶壮(タカハシ ケイソウ)氏
日時:2017年12月10日(日)9時30分~12時
場所:ホテル金沢5階  アプローズ
    金沢市堀川新町1-1(金沢駅東口から徒歩1 分)
対象:会員および会員医療機関のスタッフ
参加費:無料
申込:必要事項を記入の上、FAX 詳しくは歯内療法講演会チラシ
主催:石川県保険医協会

メモ
 目からウロコの素晴らしい講演会だった。Drリンデ以来の衝撃だった。それでも一つの考えに凝り固まることなく自分で地道に確かめながら、いろんな意見を受け容れる柔軟性を持ち続けたいと思う。
 カントの「理論なき実践は暴力であり、実践なき理論は無力(空虚)である。」を高橋慶壮氏が歯科界向きにアレンジした「理論なき根管治療は歯を壊し、我流の根管治療は誤謬(ドグマ)を作る。」は名言だった。

A.学生時代に習ったことには間違っていることもある
  →振り返りと知識や技術のアップデートが必要
   振り返り(歯科臨床における個別観察の方法は?)
     口腔内写真、エックス線写真、CT,歯周検査、模型、問診
 ①一度我流の癖が身につくと、自主的な修正は難しく、上達の邪魔になる
 ②信じられてきたことに実はエビデンスがないことが多い
  ・Jオープン(根管解放)の予後は悪い
     →5分ほど排膿させて根管内を清掃して仮封する
  ・根管貼薬にFCは使わない  水酸化カルシウムを使う
  ・NaClOとH2O2で交互洗浄しない 泡はビールと同じで上だけ
  ・Hファイルを使用してはダメ 根管内に傷や溝ができて破折を誘発する
  ・Kファイルせいぜい回転させても60度、それ以上では亀裂が起きる
  ・根管内を触るのは2,3回、それ以上は必要なし 
     根管拡大を繰り返すなどもってのほか、根尖孔を壊すだけ
  ・作業長は徐々に短くなるから毎回根管長を測定する
     →根管を直線化しているため
 ③医学は進歩している

B.根管形成の理論と実践
 1.根管の拡大形成の戦略
  ①根尖孔を破壊しない
  ②MI概念に基づき、根管内壁を均等に切削する
  ③根管内に残存する細菌を封入する
  ・前歯は切端寄りに髄腔穿通する方が、根尖孔まで直線的な形成ができる
  ・ロート状拡大
    ファイルがスムーズに根管へ挿入できない場合に行う
    全てに行うわけではない
    近心根に多い、遠心根には必要なし
  ・根尖孔付近の器具操作に関する論文(イタリアの開業医のRicucci先生)
生理的根尖孔はセメント質の増生も認められることから、根管形成の目安とされていたが、
 *根管の最狭窄部とCDJ(セメント象牙質境)は一致していない。
 *電気的根管長測定器の0.5はApex(根管の最狭窄部)
 *根充の予後はレントゲン的根尖の1~1.5mm手前が良い。
 *なにより根尖孔を壊さないことが大切(アピカルシート形成)
根尖孔が壊れているケースでは、感染源除去が最優先。外科的治療も選択肢
 2.根管の形態を保持した拡大形成理論
  ①「トルクコントロール」を意識して回転角度30度を厳密に行う
    硬い、しなりの少ないファイルは回転を少なくする
    自分が使用しているファイルのブランド名?と、しなり度を知ること
  ②ターン・アンド・プル(小さく動かす)
    トランスポーテーションを避ける
    内容物の押し出しを最小限に止める
    根管内壁の全周ファイリング
    根管の直線化ではない
008  ③5,6度のフレアー形成(根管充填の緊密化のために)
    スプレダーがガッタパーチャの先端付近まで挿入できる
    根尖から突きでないようにスプレッダーにストッパーをつける
    亀裂を起こさないために、歯質の薄い舌側ではなく頬側にスプレッダーを入れる
  ④再帰ファイリング
    根尖1mmの根管内に詰まった切削片を絡め取り、無毒化する

 3.根管治療の予後
  ①根管治療の予後に影響を与える因子
   ・根尖の組織破壊
   ・根尖外のBiofilm
  参考に 根尖病変
   ・レントゲン写真と臨床症状から歯根や歯根膜とBiofilmとの状態を
    正確に診断できないが、時間経過にともなうレントゲン画像の変化から推測する
   ・嚢胞内にコレステリン結晶が詰まっていると、根管治療に反応しにくい。
     便宜的再植術の可能性がある
  ②根管充填の状況により予後が違う
   ・根管充填がレントゲン的根尖の2mm以下が一番予後が良い。
    オーバーの予後は悪い。
     2mm以下は94%、オーバーは76%、2mm以上アンダーは68%
    指導医の下で臨床実習生が治療した結果、Step back preparation法
    KファイルとHファイルを使用
   ・再根管治療は
     根管形態が損なわれていない歯   86.8%
     根管形態が損なわれている歯    47%
   ・根管のアピカルシート
     上方数mmのトランスポーテーションを最小限に抑えることが重要
   ・JHエンドシステム(平井順)は良好な予後
      根管系本来の形態を保持した根管形成法
 4.歯内疾患と咬合の関連性
   ・根尖病変の形態が涙型で上にせり上がっていると、
     外傷性咬合の可能性が高く治癒しにくい
     処置後4年の経過を見る
   ・金属冠に皺 ウインクル
   ・亀裂歯症候群
     痛み即抜髄ではなく、咬合の影響も考える
   ・生活歯の歯根破折 過剰な持続的咬合力
      両側の第一大臼歯、第二小臼歯
      79%の患者で欠損歯は4本以内(しっかり噛める方)   
   ・失活歯の垂直的歯根破折
      上顎第二小臼歯と下顎大臼歯の近心根が多い
      不適切な根管治療による Hファイルによる溝からの誘発 

案内文
 毎日の様に行う根管治療ですが、治療成績がいつも良いとは限りません。再根管治療の場合などは特にパフォーマンスが落ちてしまい、悲しい気持ちになってしまいます。もっと良い成績を上げるには、どうしたら良いのでしょうか?
 そんな私たちの思いに応えた本が、「考えるエンドドンティクス」( 高橋慶壮著) です。
 近年、様々なメーカーから出た器械を使った根管形成や根充にも、基本的な考え方、ポイントを指し示し、私たちの臨床のupdate を助けるために、今回、奥羽大学歯学部の高橋慶壮先生にセミナーの講師をお引き受けいただきました。皆様のご参加をお待ちしております。

高橋慶壮氏プロフィール
日本歯周病学会常任理事(口腔インプラント委員会委員長)
日本歯科保存学会常任理事、
日本顎咬合学会指導、
米国歯周病学会(AAP)国際会員、
国際歯科研究会(IADR) 会員
【主な研究領域】
歯周病学、歯内療法学、口腔インプラント治療学、国際英語論文47 編

【ご略歴】
1988 年岡山大学歯学部歯学科卒業
1992 年岡山大学大学院歯学研究科修了博士(歯学)
1993 年英国グラスゴー大学歯学部(Prof. Denis F. Kinane に師事)
1996 年岡山大学歯学部助手
1999 年明海大学歯学部講師
2006 年明海大学歯学部助教授
2007 年奥羽大学歯学部歯科保存学講座歯周病学分野教授(~現在)
【主な著書】
高橋慶壮「考えるエンドドンティクス―根管形成と根管充塡の暗黙知と形式知―」
  (クインテッセンス出版2015)、
高橋慶壮「歯内療法における臨床思考の技術」(デンタルダイヤモンド社2014)、
高橋慶壮「歯周治療失敗回避のためのポイント33~なぜ歯周炎が進行するのか、なぜ治らないのか~」(クインテッセンス出版2011)、
高橋慶壮、吉野敏明編著「エンド・ペリオ病変の臨床歯内-歯周複合病変診断と治療のストラテジー」(医歯薬出版2009)、
高橋慶壮「歯内療法失敗回避のためのポイント47~なぜ痛がるのか、なぜ治らないのか~」(クインテッセンス出版2008)、
平井順、高橋慶壮「臨床歯内療法学–JH エンドシステムを用いて–」(クインテッセンス出版2005)

石川県保険医協会
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Eメールishikawa-hok@doc-net.or.jp

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