小島歯科医院 名誉院長ブログ

2016年赤本勉強会

2016年07月23日(土)


赤本勉強会2016① 23日(土)ホテル金沢にて「保険診療に詳しくなるための勉強会」が開かれ、約50人の参加がありました。5人の先生が各検討内容を解説され、それぞれに質疑応答がありました。興味深い内容が多く、活発な意見交換が行われ、大盛況な会となりました。
 2014年赤本勉強会
kojima-dental-office.net/20140712-1675
 2012年赤本勉強会
kojima-dental-office.net/20120721-1663
 2010年赤本勉強会
kojima-dental-office.net/20100717-1653

メモ    ページ数は『歯科保険診療の研究 2016年4月版』(赤本)
A.初診として取り扱う場合と取り扱わない場合 15ページ
  4.と6.を初診として扱い、5.は初診として取り扱わない。
    歯周疾患などもレセプト3枚空けば初診
B.エナメル初期う蝕
 a.フッ素と年齢
   F洗(フッ化物洗口指導加算)は4~12歳
   F局(フッ化物歯面塗布処置) 3ヶ月に1回
    これまでは、12歳~在宅等療養患者対象ではなかった
     0~12歳 う蝕多発傾向者
                    う蝕多発傾向者でない(C選療)
            在宅等療養患者
   *今回の改正でエナメル初期う蝕に限られるが年齢制限が外れた
   *か強診ではエナメル初期う蝕管理加算として毎月算定できるようになったが、
    処置ではなく加算なので歯管と同日でないと算定できず使い勝手が悪い
   *かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所においてエナメル質初期う蝕に罹患している患者に対する管理を行う場合は、患者ごとにエナメル質初期う蝕管理加算又はフッ化物歯面塗布処置のいずれかを選択する
 b.生活保護患者
   これまでう蝕多発傾向者でない0~12歳はF局(C選療)を受けられなかったが、
   今回の改正でエナメル初期う蝕であればF局を受けることができるようになった
C.生保の取り扱い
  生保の医療を担当する指定を受ける
  選定療養はできない
    歯科の金合金等、金属床総義歯、小児う触の指導管理
D.手術
 a.難抜歯
   歯根肥大、骨の癒着、歯根湾曲など
      +
   骨の開削または歯根分割
 b.埋伏歯
   骨性の完全埋伏歯または歯冠部が2/3以上骨性埋伏の水平埋伏智歯
 c.抜歯中止
   ・抜歯中止 難抜歯の態勢に入ったが、患者の急変で中止した場合
   ・抜歯途中中止 患者急変で普通抜歯を途中に中止した場合
      ・抜歯不能 やむを得ず抜歯を中止した場合

E.労災・交通事故
 a.問い合わせ先
   ・労災 石川労働局労働基準部労災補償課  265-4426
                  西念 駅西合同庁舎
   ・交通事故 交通事故紛争処理センター 金沢相談室 234-6650
   ・学校災害 日本スポーツ振興センター 名古屋給付課
                      052-533-7823
 b.労災診療費算定基準について 平成28年3月31日
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000119179.pdf
www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000125419.pdf

   初診 3760円  初診時ブラッシング料91点
   再診料 1390円 再診時療養指導管理料920円
   文書料 4000円
   1点 12円
 c.交通事故と健康保険 
www.kakei.club/kenpo/koutsujiko.html
 交通事故の治療においては日本医師会・日本損害保険協会・自動車保険料率算定会の三者協議により、「自賠責保険診療費算定基準」が取りかわされたので、保険診療に比べ大幅な報酬設定にはしていません。この取り決めは、平成24年6月1日現在、全国46都道府県で導入され次のような内容になっています。
 「自動車保険の診療費については、現行労災保険診療費算定基準に準拠し、薬剤等「モノ」についてはその単価を12円とし、その他の技術料についてはこれに20%を加算した額を上限とする」となっています。
 ここでいう「モノ」というのは、注射や投薬、麻酔の薬剤料、画像診断の薬剤料・フィルム代等になります。その他の技術料においては、初診料や入院基本料、手術料、入院時食事療養費などが技術料になります。

F.訪問診療・介護報酬
赤本勉強会2016②1.施設基準の届出 2017年3月31日までに     正副2通
  ・歯科訪問診療料の(注13)に規定する基準  P229とP238
  ・歯援診の基準                                P229とP234
  ・在宅専門の歯援診の基準
2.他職種連携
  ・往診している医師
  ・ケアマネジャー
  ・訪問看護ステーション
  ・施設   など
 *自院に訪問診療している案内
 *共通理解のための話し合い
  ・疾病、傷病のため通院による歯科治療が困難な患者
  ・訪問する曜日、時間、手順
3.訪問依頼が来たら、先ずケアマネジャー(訪問看護師)に連絡を取る
    情報収集と連携のために
 ①『調査票』の記入とそれのFAX等による送付をお願いする
 ②保険証、限度額証明書、介護保険証と支払者や方法を確認
 ③初回訪問日の調整
  本人、家族とケアマネジャー(訪問看護師)が同席できる日時
  他のサービスと重ならないことを確認
 ④主訴と主な症状
  初回訪問時に対応できないこともあることを伝える
  必要があれば主治医と連絡を取る
4.訪問先                 P60
 ①在宅
  *介護保険の対象
  *在宅歯科医療推進加算(届出)の算定は  100点
    自宅やマンション(サ高住を除く)のみ
 ②入所・入院
5.必要な記載・提供文書
 ①レセプト摘要欄記載
  訪問先
  通院困難な理由
  訪問診療と訪衛指を明示してそれぞれの実施日と時間(開始時刻~終了時刻)
  介護保険を併用の場合は「介」と記入
 ②カルテ記載
  レセプト記載要領の他に
   訪問診療計画
   歯在管を算定した時に内容の要点            支援診240点 その他180点
   (特)算定日に患者の状態と(要介護度)  175点
   急性対応時の切削器具名                    一人のみ170点 複数55点
   訪補助算定時に歯科衛生士氏名              一人のみ110点 複数45点
   歯科衛生士への指示内容
 ③提供文書
  訪問診療2,3を算定した時(一覧表でも可) P251
  「管理計画書」の文書加算を算定した時    P71
  訪衛指を算定した時                         P72
  居宅療養管理指導費(介護保険)を算定した時はケアマネに P65
4.介護保険
  ①訪問先を確認
    在宅では訪問歯科衛生指導料は算定できない。
    歯科医師が行う居宅療養管理指導費を算定した月は歯在管は算定できない
  ②ケアマネジャーに対する情報提供が必要
  ③医療保険と区別できるように下線を引くか枠で囲んでカルテを書く
  ④一部負担金は四捨五入せず1円単位
  ⑤請求方法    61、62ページ
   介護給付費請求書(様式1)と
   居宅サービス・地域密着型サービス介護給付費明細書(様式2)
    国保連合会のホームページからダウンロードする
www.ishikawa-kokuho.jp/kaigo/seikyuyoushiki.html
  ⑥介護請求が2018年4月分から電子請求になります。
   ただし、紙で請求を続ける場合は届出が2018年3月31日までに必要。
 参考に
 いしかわの国保→介護事業者の皆様へ→介護給付費請求について
www.ishikawa-kokuho.jp/kaigo/kaigo_kyufuhi_seikyu.html
 一番下の右 *詳細は→「平成26年8月15日付老発0815第2号(抜粋)参照」
をクリックして 《別添1-2》を提出する

保険診療に詳しくなるための勉強会
日時:7月23日(土)18:30~21:00
会場:ホテル金沢 4階 エメラルド
対象:会員と会員のいる医療機関のスタッフ(定員50人)
参加費:無料(申し込みの詳細は チラシ)
申込締切 : 7月 19日(火)
定員に達した場合には、申込締切日前に締め切らせていただきますのでご了承ください。
講 師  石川県保険医協会歯科部員
主催   石川県保険医協会歯科部
検討内容
 1.歯周治療、初診                               
 2.エナメル初期う蝕、生保の取り扱い
 3.訪問診療、介護保険                                
 4.全身疾患と歯科治療                            
     歯科治療総合医療管理料・アレルギー患者の補綴
 5.外科、労災、交通事故              
 テキスト:以下2点のテキストを当日必ずお持ちください。
①『歯科保険診療の研究 2016年4月版』(4/25に発送します)
②『2016年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)

 この4月の歯科診療報酬の改定内容にもようやく慣れ始めたころと思いますが、制度のより正確な理解や複雑な所を整理するために、今年も赤本勉強会を企画しました。今回も、『歯科保険診療の研究』(赤本)と『2016年改定の要点と解説』(点数検討会のテキスト)をテキストに、今次改定の内容はもちろんのこと、算定の基礎から算定方法が分かりにくいケースを掘り起こす内容も準備しています。
日頃聞けない疑問点や厚労省への改善要望などをお持ちよりいただき、意見交換をしながら理解を深める機会になればと思っています。
新入会の先生方をはじめ、多くの会員の皆様にご参加いただければ幸いです。

石川県保険医協会
www.ishikawahokeni.jp/
〒920-0902石川県金沢市尾張町2-8-23
太陽生命金沢ビル8階
TEL 076-222-5373
FAX 076-231-5156

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